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ハートブレイク
一度目の失恋は高校2年の時だった。
『西、俺!彼女できた!!』
嬉しそうに話す九条を見たとき、心が折れ世界がまっくらになった。
いつもの日常からカラフルな色だけがなくなり黒一色になる。そんな中で九条の笑顔を見ているのが辛かった。
『え……そっか…良かった…!!』
無理やり作った笑顔は引きつっていなかっただろうか。自然に笑えていただろうか。祝福しなければいけない親友であり幼馴染の彼の事を祝福できずにいる自分の心は狭いのだろう。こんな形で失恋するのであったなら、気持ち悪がられても自分の想いを伝えるべきだったのだろうか。
『今度紹介するからさっ!』
紹介なんて要らない。九条と付き合ってる彼女なんて。
『…う、うん…楽しみだな…!』
正直に言うと今までにも何度か自分の気持ちを打ち明けようとしたことはあった。だが、自分が男として生を受けたその瞬間からこの恋は叶わないものだったのだ。
自分が女だったらきっと九条に素直に想いを伝えていただろう。
なぜ自分は男なのだろうか。
なぜ自分は女性ではなく、親友であり幼馴染の九条の事を好きになってしまったのだろうか。
その日は悲しくて寂しくて悔しくてベッドの中でずっと泣いていた。
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