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きっと、どうしてこんなところにいるんだと思っているんだろう。
そんなの私が聞きたい。
まさかこんな風に爽のコンサートを観ることになるなんて。
こんな風に改めて住む世界の違いを見せつけられるなんて……。
すぐに気を取り直した様子の爽は、何事もなかったように二番に入った曲を歌い出し、また別の方向へ移動していった。
さすがプロだ。私みたいに、こんなに動揺なんてしない。
住む世界が違う。
私と爽は、こんなにも違う場所に住んでいるんだ。
分かっていたつもりだったのに、それでも。
あんなに近くに感じていた爽が、今はとてつもなく遠く感じる。
私は身体から力が抜けて、へなへなと椅子に座り込んでしまった。
スピーカーから流れてくる爽の歌声。
爽は、こんな風に歌うんだ。
こんな声で。
そんなことすら、私は今日までちゃんと知らなかった。
打ちのめされる。
この距離の遠さに、この私の知らない世界に。
近くにいたはずなのに、こんなに。
こんなに遠い。
胸がぎゅっと掴まれたように痛くなったと気付いた時には、頬を涙が伝っていた。
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