第六章 ステージの上の王子様

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「えーと、とりあえず先にご挨拶させてください。TNCホールディングスの寺西です。都築くんの映画とのタイアップでお世話になります。この度はコンサートにご招待いただき、ありがとうございました。とても素晴らしかった。観客の熱狂的な声援に皆さんの人気が表れていましたね。お疲れ様でした。久しぶりだけど、都築くん、また頼むね」  さすがのスマートさで、寺西さんはメンバーたちに向かって微笑んだ。  メンバーたちもそれぞれに自己紹介とコンサートに来てもらったことに対する感謝を伝えてくれる。  爽もその時ばかりは咳払いして「寺西さん。昨年の夏以来の仕事で、またご一緒できることになって嬉しいです。衣装の件、ありがとうございました。ジャパンガールズコレクションでもよろしくお願いします」と、やっぱり私と二人の時とは違う爽やかな笑みで挨拶を返した。  ――よかった。寺西さんのおかげでこれで帰れそう。  なんて思った矢先、カラストのリーダーだという理知的な雰囲気の沢渡さんが爽に問いかけた。 「それで? 爽は彼女とはどういう……?」 「あ……」  爽が気まずそうにこっちを見ている。  そりゃ、そうなるよね。  私たちの関係はなんていうか、他人にはすごく説明しづらい。  道端でぶつかって靴が壊れて~と一から説明するのもおかしい気もするし、かと言っていきなりお弁当を届けてるなんて言うのも変だ。
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