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「爽?!」
思わず驚いて叫んでしまう。
インターホンモニターの四角いモニターのなかに、紛れもなく爽が映っていた。
慌てて玄関に駆け寄り、ドアを開ける。
「爽……どうして?」
「行くぞ」
「え? 行くってどこに?」
「美羽の母ちゃんのとこに決まってんだろ」
「お、お母さんのところって……」
「とりあえず荷物持ってこいよ」
廊下の蛍光灯の灯りに照らされた爽が、じっと真剣な眼差しを向けてくる。
行くってどうやって? どうして爽が? と頭が混乱しているのだけれど、有無を言わせない様子に逆らうこともできず、ハンドバッグを手に取る。
「ねぇ、どういうこと?」
「……いいから来い」
爽が私の腕を掴んだ。
大きくて熱い手のひらの感触に、こんな状況でも鼓動が大きな音をたてる。
慌てて玄関に鍵をかけて、早足の爽に引っ張られるようにしてついていく。
訳が分からないのに、前を向いて歩く彼の背中がとても頼もしくて……。
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