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「爽……ありがとう。私、爽が来てくれなかったら、ずっとあの部屋でひとりで、どうすることもできずにいたと思う。爽がいてくれて、本当に良かった」
また胸の奥がきゅっと切なくなる。
爽の声すら愛しく感じて、もうこの気持ちを抑えることなんてできないと痛いほど感じてしまった。
「あ、でも勘違いすんなよ。俺はマザコンじゃねぇからな!」
「え、そんなこと思ってないよ?」
真面目な空気に耐えかねたのか、照れくさいのか、爽が突然そんなことを言う。
「母ちゃん母ちゃん言ってると勘違いされても困るからな」
「思わないよ、そんなこと。お母さん思いの良い息子さんだな、とは思うけど」
「や、やめろよ、変なこと言うの」
暗がりでも爽の耳が赤くなっているのが分かる。
さっきまで心に余裕がなくて、ただ不安でいっぱいだったのに。
そんな爽を見ていると、自然とちょっとだけ笑うことができた。
私のなかで爽への想いがどんどん大きくなっていく。
どんどんかけがえのない存在になっていく。
もうこんなの無理だよ。
――私、爽のことが大好きだ。
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