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病院に着いたのは日付が変わった月曜の午前二時だった。
救急搬送用の出入り口そばの駐車場に車が停まる。
「着いたぞ」
「爽、ありがとう」
「あぁ。いってこい」
爽の力強い言葉に送り出されて、私は走る。
康太に電話して聞いた病室に向かうと、ベッドの上で点滴に繋がれて眠るお母さんと、その脇に憔悴しきった様子のお父さんと康太がいた。
「お父さん、康太!」
「美羽……連絡できなくて悪かったな」
「ううん。それよりお母さんは? 大丈夫なの?」
「あぁ。実は風邪をこじらせて、肺炎になってたんだ。高熱が続いてたんだが今日、呼吸困難になって運ばれた」
久しぶりに見るお父さんの顔は青白くて、やつれている。
「今は薬で落ち着いて眠ってるよ。家計を考えるとなかなか病院に来られなかったみたいだ。先生が言うには過労のせいもあるだろうって。でももう命に関わることはないそうだ」
「……良かった」
本当に良かった。
お母さんの酸素マスクをつけた、安らかな寝顔に胸をなでおろす。
また会えて良かった。
生きていてくれて良かった。
早く元気になってほしいと願いを込めて、そっと手を握る。
細くてがさがさに荒れた手。苦労の滲む指。
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