第七章 触れたい

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 車に戻ってお母さんのことを説明すると、爽もホッとしたような顔で笑ってくれた。  その表情にすら、胸にジーンとくる。 「良かったな」 「ありがとう。爽のおかげでお母さんに会いにこられた」 「だから、もういいって、それは」 「ごめん」 「謝んなよ」 「……でも、ごめん」 「あー、もうなんなんだよ」  ――感謝、してるんだけどな。  これ以上どう伝えたらいいか分からなくて、でも爽にうざったがられるのも嫌で、言葉にするのはやめにした。  爽は焦れったそうに頭をかいている。 「で? 明日、母ちゃんの顔を見てから帰るんだろ?」 「あ、うん。お父さんと弟は一応、今夜は病院に泊まるみたいで……もし爽が大丈夫なら、お父さん達が住んでる親戚の家の離れに泊まってもいいかな?」 「俺は明日、夜まで何もねぇけど……いいのかよ?」 「うん。さっき二人には了承してもらった。親戚には私が明日、病院に行く前に挨拶に寄るから」 「ん。じゃあお言葉に甘えて。美羽は明日、仕事だろ?」 「さすがに明日はお休みをもらおうかな」 「そっか。よし、とりあえず行くか」  もう三時だ。  ああは言ってたけど、三日間のコンサートを乗り切った後に長距離運転なんて疲れていないわけがない。  早く爽を休ませてあげたい。  私たちは病院を後にして、親戚の家に向かった。
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