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真っ暗になったせいか、爽の呼吸が先ほどよりも大きく聞こえて、彼の気配を近くに感じてしまう。
爽が隣にいる。
眠いのに、身体が疲れているのに、爽の息遣いや気配を気にしてしまう。
目を閉じても、まぶたの裏に爽の笑顔が、爽の色んな表情が浮かんでは消える。
相変わらず、鼓動だって全然、落ち着いてくれない。
そして私は。
自分の中にある、ひとつの気持ちに気が付いてしまった。
こんなの、おかしい。
だって、どうすることもできないって、叶わない恋だって、分かってるのに。
なのに、今、私、ものすごく爽に触れたいと思ってしまっている。
このままずっと爽のそばにいたい。
爽に触れたい。
こんな気持ち、変だ……。ダメだよ。
頭ではそんな風に思うのに。
横になったまま、布団のなかでゆっくりと爽の方を向く。
頬が燃えるように熱くて、指が震える。
「爽」
小さく名前を呟いてみても、もう眠っているようで返事はない。
静寂のなか、爽の規則的な呼吸と私の心臓の音だけが聞こえて。
私は胸のなかで強く、強く願った。
神様、どうか今だけは。
今だけは爽に、触れさせてください。
叶わない恋でもいいから、どうか触れることを許してください。
どうか、爽の温もりを感じさせてください。
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