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鳥のさえずりが聞こえて、意識がゆっくりと覚醒していく。
まどろみのなか、あれ、私いつの間に寝ちゃったんだっけと考えながら、ゆっくりと目を開けた。
その瞬間、目の前の光景に息が止まりかける。
鼻先が、唇が、触れてしまいそうなほどの至近距離にある爽の寝顔。
皮膚の薄いまぶたを縁どる長いまつげ、すっと通った高い鼻、サラサラの髪。
――ち、近っ! なにこれ、なにこれ、なにこれ?!
思わず距離をとろうとして、私はそこで初めて爽に抱きしめられていることに気付いた。
私の腰と背中を包む、爽の腕の熱さ。
昨夜、願った以上の現実に頭がパニック状態になる。
ドックンドックンと、心臓が早鐘のように鳴って、息苦しい。
「うーん……」
どうしよう、抜け出すべき? どうしたらいい? なんて考えている内に、爽の唇から吐息が漏れて瞳がゆっくりと開かれた。
ほとんど密着しながら身動き一つとれずにいると、爽と目が合う。
カーテンの隙間から差し込む陽光で薄明るい部屋のなか、その茶色い瞳に私がどアップで映っているのが見えた。
「えっ?!」
爽があげた声に合わせるように開かれたドアから、まばゆい外の明かりが部屋に射し込む。
逆光のなか立ち尽くすシルエットは、間違いなく弟の康太のもので。
次の瞬間には、康太の驚きの声が上がった。
「おはよ、姉ちゃ、って、え、え?!」
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