第七章 触れたい

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 茹でだこのように顔を真っ赤にした爽が、すごい勢いで布団から飛び起きる。  私も弾かれたように反対側へ飛び退った。 「な、な、なに、なにしてんだよ、おまえっ」 「そ、それはこっちのセリフ!」  戸惑いを隠せない私と爽に、康太が割って入る。 「ちょっと待って、姉ちゃん、友達って男だったの?」 「……う、うん! 入ってくるならノックくらいしてよ!」 「ごめんって! でもここは俺んちだしー」 「こ、康太!」  ーーなによ、この悪びれない態度は。信じられない。泊まってるの知ってて勝手に開けるなんて。  もっと説教してやろうと詰め寄ると、そんな私をかわして康太がぽかんと口を開いた。 「え、まじ? うそ、もしかして……待って、いや、え、ほんと? そんな……」  不自然に壁に顔を向ける爽に、康太が一歩一歩にじり寄る。 「もしかして……カラストの爽?!」  無遠慮に指をさして、康太が目をまん丸く見開いた。  諦めたのか覚悟ができたのか、爽がアイドル用の爽やかスマイルの仮面をかぶる。 「うん、カラフルストリームの都築 爽です。はじめまして、康太くん。お邪魔してます」 「えええええーーーーー?!」  市内全域に響き渡らんばかりの康太の驚嘆の声が、コンテナハウスに轟いた。
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