第七章 触れたい

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 それからなんとか康太を落ち着かせ、布団を畳んで作ったスペースで三人、膝を突き合わせて座る。 「なんでカラストの爽、あ、えっと、都築さんが姉ちゃんと?」 「爽でいいよ。みんなそう呼ぶだろ?」 「あ、は、はい。学校の女子は、みんな爽って呼んでます」  緊張でガチガチの康太に対し、爽はアイドルとして爽やかに礼儀正しく、落ち着いた様子で話している。  ホント、普段の爽とはまるで違うんだから。 「康太くんのお姉さんとは仕事で知り合って、友達なんだ。困ってるみたいだから車でつれてきた。運転は好きだからね」 「そ、そうなんですか」 「うん。お母さんのことは聞いたよ。康太くんも大変だったね」 「い、いえ」 「早く元気になるといいな」 「あ、ありがとうございます!」  康太は固まった身体をぎこちなく動かして頭を下げた。  それでも私に小声で「姉ちゃん、芸能人と友達なら一言言えよな!」なんて囁いてくるから、意外とミーハーらしい。
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