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「それなら都築くん、ひとつ協力してもらえないかな?」
「協力、ですか?」
「うん。俺、美羽ちゃんのこと、気になってるんだ。友達なら俺たちの仲をとりもってもらえないかな?」
「はぁ?!」
「ちょっ、寺西さん! なに言ってるんですか!」
朗らかに妙なことを言ってのける寺西さんに、私と爽の上ずった声が被った。
私の爽への気持ちを知っているのに、寺西さん、一体どういうつもりでこんなこと……。
「あははは、驚かせてごめん。でもお友達が協力してくれるなら、こんなに心強いこともないからね」
爽は黙ったまま、強張った顔で私と寺西さんを見ている。
「あれ? なにかおかしなこと言ったかな?」
「……いえ」
「美羽ちゃん、他の子たちと違ってなかなか攻略が難しそうなんだ。まぁ、考えておいてくれよ」
「寺西さん!」
「じゃ、美羽ちゃん、資料取ってくるからね。都築くん、また」
寺西さんはとうとうとそんなことを言って、エレベーターに向かって歩いていってしまった。
その場にはあっけにとられたままの爽と私だけが取り残される。
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