第九章 ランウェイをあなたと

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 熱気がすごい。  スタッフたちが慌ただしく準備や最終チェックに追われる様子に、思わず圧倒される。  あまりテレビを見ない私でも知っているような有名モデルの女性が楽屋になっている小部屋から出てきて、寺西さんと親しげに挨拶を交わす。 「あ、寺西さんだー!」 「サナちゃん、おつかれ。今日出るんだ」 「うん! ねぇ、元気にしてた? 最近全然遊んでくれないじゃん」 「あはは、ごめん。最近ちょっと夢中なことができてね。ショー頑張って」 「ありがとー! サナのこと、見ててね!」  艶々としたロングヘアをなびかせながら、とんでもない美人が去っていった。  さすが、寺西さんはこういう交友関係もあるのか。 「今のって……」 「ああ、モデルの木村サナ。何度か一緒に飲んだことがあるんだ」 「それだけですか? その割には随分親しそうでしたけど」 「あれ? なに、妬いてくれた?」 「ちょっと! 違います! 飲んだだけでは醸し出せない親しげな雰囲気でしたし……さすがだなぁと思っただけで」  寺西さんは悪戯っこみたいな顔で「それは残念」と言ってクスクス笑った。
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