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「たくさんの女性が、ここに美を求めてやってくる。洋服は日常のなかの自分を美しく見せてくれるものだ。楽しい時や悲しい時でも洋服が日々の彼女たちを彩っている。ここで新しい彼女たちに寄り添う洋服に出会ってもらえたら……それがうちの会社の服だったら、最高だと思わないか? 俺たちがしているのは、そんな風に誰かの日常と笑顔を作る仕事だ」
生産部で工場や店舗とやり取りしていた私は、これまでそんなことを考えたことは一度もなかった。
お給料のために真面目に働いてはいたけれど、仕事の意義をまともに見ようとしたことはあっただろうか。
「やっぱり寺西さんはすごいですね」
「ん?」
「会社や仕事に誇りを持ってるんだなって」
私の言葉に首を傾げていた寺西さんが「当然だろ? 世の中の女性を綺麗にする手伝いをできるなんて、男冥利に尽きる」なんて言うから、つい吹き出してしまった。
「チャラい寺西さんにピッタリですね」
「んー、それはちょっと聞き捨てならないなぁ」
冗談を言い合う間も、私の胸にはやる気が漲ってきていた。
寺西さんが見せてくれなかったら気付けなかった仕事の意義。
ーー契約社員だとしても私もTNCの一員として、必ずこのショーを成功させたい。
私はしばらくの間、大型ビジョンに映し出された『ジャパンガールズコレクション』の文字を、決意を新たに見つめていた。
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