第九章 ランウェイをあなたと

12/23

367人が本棚に入れています
本棚に追加
/245ページ
 寺西さんは心を決めたようにきっぱり言い切った。 「うん。これでいこう」 「寺西さん? どうしたんですか?」  真剣な表情で周囲のスタッフを見渡しながら口を開く。 「田無さんの代わりに灰田さんにモデルになってもらう」 「「え?!」」  思わず大声を出してしまったのは私と爽で、スタッフもどよめいている。  ――私が代役ってこと?! そんなのありえないよ。 「そ、そんな、こんな時に冗談言わないでください」 「美羽ちゃん。冗談なんかじゃないよ。俺はこれが一番良い方法だと思ったんだ」 「でも一般人の美羽をステージにあげるわけには」  寺西さんと私に爽が割って入る。  彼も困惑しきった様子で、寺西さんだけがひとり落ち着き払っていた。 「都築くん、美羽ちゃん。それからみんなも。聞いてくれ」
/245ページ

最初のコメントを投稿しよう!

367人が本棚に入れています
本棚に追加