第九章 ランウェイをあなたと

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 ――話はついたみたいだけど……本当に私がショーに出るの?  爽が後頭部をガシガシかきながら、諦めたようにため息をつく。 「仕方ねぇな」 「納得してもらえたようで、なによりだよ」  口元に微笑が戻ってきた寺西さんがラックから衣装を取って差し出してくる。  私はおっかなびっくり、それを受け取った。 「私、大勢の人の前でステージを歩くなんてこと、できません」 「これは決定事項だ。もう覆らないよ」 「でも」 「美羽ちゃん、大丈夫。俺がついてるから。ただこの服を着て、胸を張って歩く。それだけでいい。ね? 都築くん」 「あぁ。もう腹くくれよ。……俺たちについてこい」  ついてこいって言われても……緊張で膝が震える。  信じられないよ、こんなの……。 「はい。もう時間ないよ。美羽ちゃん、準備して」  寺西さんが手をパンパンと叩いたのが合図になって、スタッフに着替え用のカーテンで仕切られたスペースに案内される。
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