第二章 優しい夜

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 明るい照明と緑に溢れた休憩スペースの窓際で丸テーブルを陣取ってお弁当を広げる。 この席が私と佐々岡さんのいつもの場所で、ベランダに面する大きな窓の外に見えるビル群や東京タワーを眺めながらお昼ご飯を食べられるのが気に入っていた。  一息ついて、ずっしり重く凝り固まった首をまわすとポキポキと音がする。 「わ、すごい音! かなり凝ってそうですね」 「そうなの。ここのところ、ひどくて」 「大丈夫ですか? あ、デスクにコロコロ持ってますよ! フェイス用のですけど」 「え、そんなのあるの? デスクに?」 「ありますよぉ。爪やすりと電池式のヘアアイロンとフェイスミストもあります!」 「いや、仕事中も美容に気を使っててすごいけど……とりあえず、首に使うわけにはいかないから遠慮するね」 「そうですか? もし必要だったら言ってくださいね!」  そう言うと佐々岡さんはにっこり笑ってスタバで買ってきたという海老の入ったサンドイッチを小さくかじった。
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