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言っても、いいんだろうか。
私も爽を好きだと。
ずっとそばにいたいと。
飛び込んでもいいんだろうか。
この愛しい人の胸のなかに。
この恋は意味のないものだと、叶わないと思っていた。
それなのに。
涙が湧きだしてきて、頬をぼろぼろと伝って落ちていく。
「な、ど、どうして泣くんだよ」
爽を見つめながら号泣する私を、困ったように見下ろす彼。
部屋でしか会えなくても、デートなんてできなくても構わない。
爽が私を好きで、これからもそばにいられたら、それで。
それだけでいい。
爽の言葉が嬉しくてたまらない。
涙は止まってくれないけれど、私は笑った。
「私も爽のことが好き。ずっと一緒にいたい」
絶対に伝えることなんてできないと思っていたこの気持ちを、口に出せることすら尊いことのような気がする。
こんな言葉だけじゃ、到底、すべてを表せるわけではないけれど。
爽の目が大きく見開かれ、次の瞬間、私はまた彼の腕の中にいた。
熱い体温と爽のにおいに包み込まれる。
「やべ、どうしよ……すげぇ嬉しい」
そんな言葉にすら、どうしようもなく胸がときめく。
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