第十章 それぞれの想い

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 言っても、いいんだろうか。  私も爽を好きだと。  ずっとそばにいたいと。  飛び込んでもいいんだろうか。  この愛しい人の胸のなかに。  この恋は意味のないものだと、叶わないと思っていた。  それなのに。  涙が湧きだしてきて、頬をぼろぼろと伝って落ちていく。 「な、ど、どうして泣くんだよ」  爽を見つめながら号泣する私を、困ったように見下ろす彼。  部屋でしか会えなくても、デートなんてできなくても構わない。  爽が私を好きで、これからもそばにいられたら、それで。  それだけでいい。  爽の言葉が嬉しくてたまらない。  涙は止まってくれないけれど、私は笑った。 「私も爽のことが好き。ずっと一緒にいたい」  絶対に伝えることなんてできないと思っていたこの気持ちを、口に出せることすら尊いことのような気がする。  こんな言葉だけじゃ、到底、すべてを表せるわけではないけれど。  爽の目が大きく見開かれ、次の瞬間、私はまた彼の腕の中にいた。  熱い体温と爽のにおいに包み込まれる。 「やべ、どうしよ……すげぇ嬉しい」  そんな言葉にすら、どうしようもなく胸がときめく。
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