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「ごめん、お待た……せ」
会計を終えた寺西さんが寄ってきて、すぐに私のおかしな様子と週刊誌の見出しに気付いて笑顔を曇らせる。
爽が二股とか浮気とか、そんなことをする人だと思われたくなくて、私は週刊誌を隠すように胸に抱えて振り返った。
「こんなの嘘ですよ。爽はそんな人じゃありません。田無さんと付き合ってるわけ、ないじゃないですか。ありえないですよ」
何故か心が急いて早口になってしまう。
息が苦しくて、爽をかばう言葉がうまく言えない。
「美羽ちゃん」
寺西さんにハンカチを差し出されて初めて、私は自分が泣いていることに気付いた。
駄目だ、こんなの。
これじゃあ、まるで浮気に傷ついた女の子みたい。
違うのに。
爽はそんな人じゃないって分かってほしいだけなのに。
「あれ、なんだろ、これ……」
「……ホテルまで送るよ。今日は休んでゆっくりするといい」
「でも」
「こっちは大丈夫だから。ね、いこう」
寺西さんは私の頑なな指を週刊誌からほどき、レジでお金を支払うと週刊誌に目を通すことなくそのままゴミ箱に突っ込んだ。
その表情は苦々しく歪んでいてーー。私はそんな寺西さんにやんわりと肩を支えられ、うなだれながら車に戻った。
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