第十一章 ガラスの靴

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「そっか。じゃあ迎えに行くよ」 「寺西さんに送ってもらうわけにはいきません。一人で行きます」 「俺は会社から帰るついでに寄るだけだよ。都築くんとは同じマンションだからね」  電話口の向こうで、私を気遣ってくれているのか、寺西さんが冗談めかして笑う声が聞こえる。 「それにね、俺がそうしたいんだ。彼に話を聞きに行くのは美羽ちゃんだけで行くといい。だけどせめてそこまでは、そばにいさせてほしい」 「……寺西さん」 「じゃ、準備して待ってて」  そう言い残して、寺西さんは電話を切った。  ーーどうしてこんな私なんかに優しくしてくれるんだろう。  いつも寺西さんには助けてもらいっぱなしだ。  本当は一人で行くのが怖かった。  もし私の信じた爽が、本当の爽じゃなかったら。  爽が私を嫌いになったら。  もう爽と会うことができなくなったとしたら。  そんな可能性が頭をよぎって、心のなかにこびりつく。  信じてるはずなのに、こんなの変だ。  だから今、寺西さんが迎えにきてくれるということがすごく心強かった。
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