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しばらくしてエレベーターの到着ベルの音が聞こえて、エントランスの向こうから周囲を警戒した様子の爽が現れた。
最後に会ったあの日と何も変わらない姿に胸がぎゅっと苦しくなる。
「美羽」
「爽……」
「連絡できなくてごめん。ずっと設楽さんに見張られてて、スマホも管理されてた」
「それは、私のことがネットに出たから?」
「……そうだ」
「迷惑かけてごめんなさい」
「美羽のせいじゃねぇだろ。悪いのはネットに晒したやつだよ」
いまいましげに呟いた爽の顔からは、悔しさのようなものが滲み出ている。
どうして私のことがバレたのかは分からないけれど、爽の恋愛を良く思わないファンだってたくさんいる。
そういう人の一部から怒りをかったのかもしれないし、今回のことでアイドルと付き合うということはファンを傷つけてしまう行為なのだと痛感した。
「あの、見るつもりはなかったんだけど、ね……今朝の週刊誌の記事、あれって本当なの?」
「ごめん」
――ごめん? ごめんって、なに……。
どうして謝るの。なんで、そんな顔してるの?
次の言葉を聞くのが怖い。
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