第十一章 ガラスの靴

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「寺西さん」 「都築くん、何しに追いかけてきたの?」 「……美羽から離れろ」 「今の君にそんなことを言う権利があるのかな?」 「……ッ!」 「君は知っているのか? 美羽ちゃんが今、どこで寝泊まりしているのか。どうしてそんなことをしないといけなくなったのか。どんな気持ちでいるのか。どれだけ傷ついたのか」 「それは……」 「彼女を傷つけることは許さない。美羽ちゃんは俺が幸せにするよ」  寺西さん……。  爽の私の名を呼ぶ声を聞くと、今すぐに決意を翻して彼の胸に飛び込んでしまいたくなるのに。  寺西さんの言葉が、腕が、私をこちら側へと繋ぎとめてくれる。 「爽ッ!」  設楽さんが追い付いて爽を連れ戻そうともみ合い始める。  寺西さんが身体を離して、私の肩を強く抱いた。
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