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「あの時の泣きわめき女!」
「え」
今度は私が目を丸くする番だった。
泣きわめき女だなんてひどい認識に、全身がかぁっと熱くなる。
「え、なに? なんでまた? あれ、もしかして俺のファン? ストーカー?」
――ス、ストーカー?!
「そ、そんなんじゃありませんっ! ストーカーなんかじゃ」
「じゃあ、なんなんだよ。 やっぱりファン?」
「ファンでもストーカーでもないです! なんなんですか、ファンって……」
とはいえ、確かに何日もここで彼を待っていただなんて、客観的に見たらちょっとストーカーっぽい……?
いくらスニーカーを返すためだったとはいえ……。
がっくり肩を落としていると彼が一歩近づいてきて、何か珍しいものを見るような目で顔を覗き込んできた。
「もしかして、あんた」
「な、なんですか」
無遠慮な視線が私の顔の上を何往復も滑る。
――ストーカー呼ばわりしてきたと思ったら、今度は人の顔をジロジロと……。
「あんた、俺のこと、知らないの?」
「へ?」
知らないもなにも、この前、ぶつかった時に初めて会ったばかりなのに、何言ってるんだろう。
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