第十ニ章 普通だけど普通じゃない、特別な日

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 正直、すごくショックだったし、悲しかった。  きっと彼女が写真をネットに流したりしなければ、爽とあんな風になることなんかなかった。  恨む気持ちは少しもないかと言えば決してそんなことはない。  でもどうにもならないことで人を羨んでしまう辛さは私が一番理解しているから。  これまで佐々岡さんの存在にだって、たくさん支えられてきたから。  こんな私をきっとお人よしだと笑う人もいるだろう。  だけどきっとこれは友人の借金をしょいこんだり、誰かのために一生懸命奔走することのできるお父さん譲りだ。  お人よしだったとしても、自分の好きな人たちを許すことができるのなら悪くない。  大泣きしてボロボロになった佐々岡さんに肩を貸しながら大通りまで戻る私を見て、ホッとしたような顔の寺西さんが苦笑して肩をすくめた。
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