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第十三章 トゥージュール
その次の週末、私は寺西さんに連れ出され、六本木ヒルズへやってきた。
空気が澄んで抜けるような青さの快晴の空は、もうすっかり冬めいている。
あれからも爽のことが頭を離れず、眠ろうとまぶたを閉じるたびに彼の姿が浮かぶので寝不足の日々を送っていた。
今頃、爽はどうしているだろう。
六本木ヒルズに来るのは、爽に誕生日に靴を買ってもらって以来だ。
お昼を食べてから夕方まで散歩がてらショッピングして夕方から映画でも観ようという話になった。
お蕎麦屋さんで食事を済ませた私たちは、寺西さんの行きたいというけやき坂にある高級ブランド店に向かった。
休日とあって、六本木ヒルズは家族連れや買い物客で賑わっている。
テレビ局の丸い建物を横目にけやき坂に出ると、いくつものブランドショップやカフェなどが並ぶ建物沿いを歩いた。
そこで私はふと足を止める。
――ティファニー。
いつも嫌なことがあると現実逃避をしに来ていた場所。
そして、爽と出会った場所だ。
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