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エピローグ
オアフ島の海がオレンジ色に染まって、今にも眩い太陽が水平線に沈もうとしている。
甘いココナッツの香りの混じった南国の潮風が、私の髪にさしたプルメリアの花をさらっていった。
爽と二人、サンセットを見ようとビーチに腰かけ、肩を寄せ合う。
彼にしっかりと握られた左手。
これは海外でだけ許される、私たちの特別な愛情表現だ。
あの記者会見の日。
スターズマネージメントの関係者が爽を止めようと会見場に現れることはなかった。
あんな風に謀反のようなやり方をしたのに、何故、誰も来なかったのかというとーー。
設楽さんがずっと社長をはじめとする事務所関係者を説得してくれていたそうだ。
設楽さんはずっと爽と私に厳しかったけれど、それは十代から事務所と母親のために頑張ってアイドルをしてきた爽を見てきたからこその、彼を守りたいが故の行動だったらしい。
そしてあの会見のあと、メンバーが好意的なコメントを発表してくれたこと、大勢のファンが爽を辞めさせないでほしいと事務所に訴えかけたことで、爽は今まで通りスターズマネージメントのカラフルストリームの一員としてアイドルを続けることになった。
もちろんそんなファンばかりではなく、私たちのことを厳しく批判する人たちもたくさんいたけれど、私にも爽にもそれだけのことをしてしまった自覚はある。
そういう意見にもちゃんと向き合い、爽もまたいつか認めてもらえるように真剣に仕事に向き合っていくと話していた。
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