第三章 本当のあなた

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「今回は僕たちと一緒に夏のリゾートに遊びに行ったような気分で楽しんでほしいですね。それぞれのソロカットは彼女目線になれるように撮影しました。僕は一緒に浜辺で線香花火をしたり……あとは、見ていただいてからのお楽しみで」  彼らの後ろの青空にも負けないくらいの爽やかな笑顔でにっこり笑う。  テンション高く、そんな爽の言葉を肯定するメンバーたち。  ――誰、これ。本当にあの爽なの?  絵に描いたような好青年の爽がテレビ画面の中にいる。  私が見たぶっきらぼうで頑固な彼とは大違いで、まるで別の人みたい。  呆然としている間にワイドショーは人気俳優の新CMの話題に移り変わった。  脳裏をぶっきらぼうな爽と、テレビのなかの爽がぐるぐる回る。  お金持ちだって思った。 ブランドものをたくさん抱えて、高価な靴を簡単に私なんかに履かせて。  確かにかっこいいとも思ってた。  だけど、まさか芸能人、アイドルだったなんて……。  こんな風にテレビで彼を見ることになるなんて。  その後、昼休憩が終わってもずっと胸の中がざわついて、なかなか仕事に集中することができなかった。
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