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彼はソファーの背もたれにもたれかかって、満足そうに息をついている。
お弁当箱を保冷バッグに片付けながら、ふと視線を上げると壁沿いの棚に、CDのプラスチックケースがいくつも並んでいるのが見えた。
もしかして、あれ、爽のグループ……えっと、カラフルストリーム、だったっけ? そのCDなのかな。
「ねぇ、あれって」
「ん?」
CDを指す私の人差し指の先を、爽の視線がついてくる。
「あれ、爽の、カラストのCDなの?」
「……は?」
その時、私は一瞬でそう問いかけてしまったことを後悔した。
爽の瞳は満腹感に満たされた穏やかな色を急速に失って、冷たく暗い。
初めて会った時のふてぶてしさも、テレビのなかの爽やかさも、今の爽にはどこにもなくて。
無表情で、じっと私を見つめている。
凍りついたような空気。
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