第三章 本当のあなた

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 急にどうしたんだろう。  聞いたらいけなかったのかな。  でも、なんで……。 「あの、爽ってアイドル、なんだね?」 「……だからなに?」 「えっと……だからどうってわけじゃないんだけど」 「じゃあなに? 何がしたいわけ? サインでもしてほしいか? あ、それとも金がもっと欲しいとか? 五千円じゃ足りねぇってこと? なぁ、芸能人と知り合えて嬉しいか?」 「えっ、いきなりなに言って……」  吐き捨てるように言った彼の声にはたくさんの棘がある。  私があっけにとられている間にも、爽は無表情で責めたてるように言葉を連ねた。 「お前、最初から俺に近づくためにぶつかってきたんじゃねえの?」 「え?」 「俺のこと、さも何も知らなさそうな顔して、わざとぶつかってきたんだろ? ハニートラップってやつ? 俺に近づいてツーショット写真でも週刊誌に撮らせるつもりだったか?」  その言葉を聞いた瞬間、身体がかあっと熱くなって、頭の中で何かが切れる音がした。
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