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意外と照れ屋さんなんだから、なんて言葉はさすがに言わないでおく。
爽との言い合いは、さっきまでと違って可笑しくて、なんだかちょっと楽しい。
こんな気持ち、いつぶりだろう。
ずっとお金のために、家族のために必死で、誰かとこんな風に自分をさらけ出して笑い合うことなどなかったような気がする。
あんなに腹がたっていたのに、ひどいことを言われたこともすっかり帳消しになってしまった。
料理を美味しいと子供のように食べてくれた爽。
私の彼への気持ちを嬉しいと言ってくれた爽。
それが彼のすべてで、きっと、本当の気持ちだから。
もう、それでいいや。
私にニヤニヤするななんて言っておいて、いつの間にか爽も笑っている。
その笑顔を眺めながら、私は何があってもこの人を傷つけないようにしようと心に決めた。
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