第四章 もうひとつの出会い

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「ぷはっ」  突然、爽が吹き出して、彼の気配が離れていく。  強く力が入ってしまっていたまぶたを恐る恐る開けると、爽が大笑いしながらソファーにかけてあったTシャツに腕を通すところだった。 「な、なに……」 「キスされると思っただろ? そんなことするわけねぇだろ」  顔が更に熱くなる。  ま、まさか……。 「今度、撮影で壁ドンしなきゃいけねぇんだよな。俺、アイドルなのにそういうの苦手でさー。今のは、その練習」 「れ、れ、練習って! 絶対からかいたかっただけでしょ?!」 「マジで仕事でやんだよ。いいじゃねぇか、壁ドンくらい」 「それならせめて一言言ってからやってよね! これじゃぁふざけてるようにしか……」 「まぁまぁ、芸能人はドッキリにかけられるもんだぜ? そんなに怒んなよ」 「私は爽と違って一般人だから! 無理です!」  ――まったく。照れ屋のくせに、こういうことするのは平気なんだから。  でもさっきまでの爽は、確かにいつもの爽とは全然違った。  アイドルとして表情を変えられるのは、さすがというかなんというか。  恥ずかしくて穴があったら入りたい気持ちで叫んだものの、お金をいただいている以上、お弁当を出さないわけにもいかず。  私はぶつぶつと文句を言いながら、テーブルの上にお弁当を広げた。
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