第四章 もうひとつの出会い

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 思わず顔を上げると、爽が耳まで真っ赤にして固まっていた。 「え、あの」 「うわー!!!! なんでもねぇ! なんも言ってねぇから!!」 「あ、う、うん、そうだよね。爽がそんなこと言うわけないよね。幻聴とか空耳とか、そういう……」  そう言いながら、私の頬も熱くなって胸の鼓動がどんどん早くなる。  可愛いって言われたかもしれないこともそうだけど、あの痛い失恋を私は悪くないって……恋愛してもいいんだって言ってくれたことが、すごく嬉しい。  失恋の記憶も、自分で決めた恋愛禁止も私のなかでしこりのようになっていた。  爽がくれたのは、あの時、私が一番欲しかった大丈夫という言葉に近い気持ちだ。   「ありがとう」 「お、おう」  素直に気持ちを言葉にすると、爽は気まずそうに目を泳がせた。  テレビではあんなに爽やかで、仕事モードで壁ドンしたって顔なんか少しも赤くならなかったくせに。  プライベートではこんな風に照れ屋な一面があることが、なんだか可愛い。
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