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「難しい顔してるねぇ」
「あ、すみません」
「あはは、いいよいいよ。なんかさ、美羽ちゃんって会う度に何かに悩んだり落ち込んだりしてるから応援したくなるよ」
「そんな、なんか本当にすみません……」
「謝るの禁止ね。謝るくらいなら一回デートしてくれた方がよっぽど嬉しい」
「な……!」
冗談だと分かっているのに、そんな言葉とともに覗きこまれてしまうと顔が熱くなった。
爽がするような、からかうような態度じゃないし、佐々岡さん曰く寺西さんは遊び人なわけで……きっと、これはすごく手慣れたことなんだと思う。
「あ、寺西さん! お疲れ様です!」
言葉に詰まっていると佐々岡さんがハイテンションでベランダにやってきた。
完全乙女モード、いや、戦闘モードな可愛い女子を絵に描いたような笑顔と声。
――そういえば狙ってるって言ってたもんなぁ。
寺西さんにきゅるきゅるした目で話しかけている佐々岡さんはいつもの何倍も可愛い。
あとでそんなことを彼女に言ったら「普段の仕事中からそんなんだったら怖いじゃないですか~!」と笑われた。
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