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「あれ、寺西さんと灰田さんって知り合いだったんですか?」
「あ、うん、この前ね……」
「ベランダ同好会」
「「え?」」
説明しようと口を開いたとき、寺西さんが急にそんなことを言って微笑んだ。
ベランダ同好会という謎の言葉に、佐々岡さんも私も思わず聞き返してしまう。
「俺と美羽ちゃんはベランダをこよなく愛し、ベランダで一息つく時間を愛でる、ベランダ同好会の仲間なんだ」
「あはは、寺西さんってば、変なのー」
「えー、そうかな?」
「変ですよ! 同好会って! でも本当にそんなのがあるなら、私も会員にしてください」
ぱっと花の蕾が開いたように笑う佐々岡さんは本当に可笑しそうで。
寺西さんはそんな彼女に微笑んで、私にちょっといたずらっぽい瞳を向けた。
「だって、どうする? 美羽ちゃん」
「ベランダ同好会が実在するのかは分かりませんけど」
寺西さんの冗談で、私たち三人の間に和やかな空気が流れる。
それから二人が何度かバーで会った話を聞いている内に昼休みが終わり、仕事に戻った。
デスクについた途端、佐々岡さんが詰め寄ってくる。
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