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こうなれば、やるしかない。
とにかく寺西さんの言うように、これは臨時のお手伝いということで自分を納得させる。
バッグの中で震えたスマホを見ると、佐々岡さんから『説明求む!』とメッセージ。
隣でシートに背中を預ける寺西さんの涼しげな横顔が、車窓の外を流れていく景色を眺めている。
私の視線に気づいて、こちらを向いて首を傾げた。
「落ち着いた?」
「ちょっとずつ……」
「それは良かった。じゃあ、これからよろしく」
「よろしくお願いします」
ふわりと柔らかく微笑まれる。
ーー寺西さん、ホントにかっこいいなぁ……。
こんな私にも良くしてくれるし、これで仕事もできてモデルもしてるなんて、天は二物を与えずなんて嘘だ。
私はそんなことを考えながら、いつの間にか高速道路を走り始めたタクシーの窓の外に視線を向けた。
それから三十分後。
タクシーを降りた私はあんぐりと口を開けたまま、その場に立ち尽くすことになった。
「ここって……」
「新神奈川アリーナ。来たことあった?」
「いえ……」
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