第六章 ステージの上の王子様

8/21
前へ
/245ページ
次へ
「うちのReal clothes(リアルクローズ)が映画に衣装協力していてね。そのタイアップで各店舗にコラボポスターを飾ったり、来週末に行われるジャパンガールズコレクションでReal clothesの枠でモデルをしてもらうことになったんだ。昨年からレディースだけでなくカップルで着られるようなメンズ商品にも力を入れているからね。二人に着てもらってランウェイを歩いてもらえば、映画の宣伝にも、うちの宣伝にもなるしお互いWin-Win(ウィンウィン)だ」 「そうだったんですか……」 「あぁ。だから今日はご招待いただいたのもあって、挨拶を兼ねてコンサートを見学にきたってわけ」  ーー挨拶を兼ねて、コンサートの見学……え、コンサート、見るの? 「コ、コンサート、見るんですか?!」 「あれ、どうしたの? 美羽ちゃん、実はカラストのファンだった?」  つい大きな声をあげてしまった私を、寺西さんが可笑しそうに笑う。   「あ、いや、別にそういうわけじゃ……」 「そうなんだ? カラスト、大人気でなかなかチケットも取れないっていうよね。アリーナツアーのあとはドームツアーもやるんだったかな。タイアップするにはもってこいの人材だよ」  ーーまさか取引先が爽だったなんて。  ファンでもなければお金もない私が、爽のコンサートに来ることなんて、きっとないだろうと思っていたのに……まさかこんな風に見ることになるなんて。
/245ページ

最初のコメントを投稿しよう!

367人が本棚に入れています
本棚に追加