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「さて、きみは何を頼む? 私は、珈琲のおかわりを注文しようかな。――夜はまだ長いよ、あの日からこれまでのことは、ゆっくり話をしよう。まず私が話すから、終わったらきみの話も聞かせておくれ」
相手に向けて差し出したメニュウでは、店自慢のオリジナルブレンドを堂々と喧伝している。手を掲げてウェイターを呼ぶと、すぐにやって来て営業用だとわかっていても好ましい印象の笑みを浮かべた。
大海原を行く月が、旅の果て、目的の港めがけて、そうっと、地平線の向こうに引っ込んだ。そうして夜は更けてゆく。男たちを帳で覆い隠して。
Fin.
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