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世界中に蔓延した新型ウイルスは、年末になっても消えなかった。
「あれ・・・確か・・・ここに・・・あれ?」
そんな年末の大掃除の最中、真也は棚を拭き掃除してる最中に手を止めて母親を呼んだ。
「ママ!ここにあった牛のマスコットどうしたの?!」
「あ、汚くなったから捨てちゃた!!」
「ママ!何で捨てちゃうの!!あれは死んだじいちゃんが僕に買ってくれた形見の牛のマスコットなのに!!」
「じゃあ、何でここにずっと置いとくの?真也が悪いのよ!!」
「酷いや酷いや!ママの馬鹿ぁーーー!!」
真也のじいちゃんは、初夏に新型ウイルスに感染して亡くなった。
受け入れる病院が少なく、たらい回しにされた挙げ句重篤化した末、真也の優しかったじいちゃんは亡くなったのだ。
「酷いや酷いや!!ママ!!じいちゃんの事もう忘れたの?!」
「それとこれとは別でしょ!!それより、早く部屋の掃除を早く終わらせなさい!!」
「やだ!!じいちゃんの買ってくれた牛のマスコットを捨てたママの言うことなんか聞くもんか!!」
「二人とも喧嘩はやめんか!!そんなにお互い大声怒鳴ってたら、家庭内感染になったらどうするんだ!!」
真也の父は、大掃除中に起きた親子喧嘩の仲裁に入った。
「ごめんね・・・おじいちゃん・・・」
真也は、自分の落ち度で親に捨てられたじいちゃんの形見の牛のマスコットの事で頭がいっぱいで部屋の掃除が捗らなかった。
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