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今までになくソウタの表情が優しい。
優しく髪が撫でられる。
「俺が女の子なら恋人でも問題ないってことでしょう?」
「そうなのかな……そうかも。でもソウタは女の子じゃない」
「落ち着かない?」
「うん。なんか絶対違うって感じる」
「俺が女だって思うのは無理?」
「もう無理な気がする」
「そう、じゃあ本当に俺を見てくれてるんだ」
ソウタを?
「落ち着かないのはヒロの心が俺のことが好きだからだよ。今までと違って俺を恋人としか思えなくなって、頭で割り切れなくなってきたんでしょう? 嬉しいな」
「そう、なのかな」
よくわからないや。
コツンと額と額が当たる。
「多分ね、俺もヒロも普通の恋愛は向かないんだ」
「向かない?」
「そう。普通は相手を好きになるには性別から入るんだろうけど、俺もヒロも最初に好きになるところが骨と歯だから」
骨と歯。
「ヒロの方が俺よりハードル高いよね。骨は男女で差があるけど歯はないからさ。俺は細かいこと考えるの面倒くさいから、俺が好きになるのは骨で納得してる。だから性別は気にしない。ヒロもこれまで付き合った相手を歯でしか見てないでしょう?」
「それは、そうかな。歯しか覚えてないことも多いかな」
「だからね、これは恋愛じゃない。普通の恋愛感情じゃないの。俺はヒロの骨がただただ好きで、ヒロは俺の歯がただただ好き。そういう関係のそういう感情。性別とか関係ないの。俺とヒロだけの関係なの」
俺とソウタだけの関係?
「恋愛じゃないの?」
「そう。恋愛じゃない。恋愛じゃなくていい。好きにはいろいろある。俺はヒロの骨が好きだ。俺の運命。一目惚れだし一生放したくない。ヒロはもう俺がどれだけヒロの骨が好きか知ってるでしょう? 俺はヒロがどれだけ俺の歯が好きなのかも知ってる。恋愛なんて簡単な言葉で終わらせて欲しくない」
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