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フラフラと風呂を出て、心配するソウタに水を勧められた。
早く寝ようと言われて一緒に布団に入る。ソウタはもともと男も恋愛の対象で、俺に恋愛感情を持っている。俺の気持ちとのズレ、そのこと自体、自分がひどく不誠実に思える。
「ソウタはさ、俺が好きなんだよね? 骨以外も」
「うん? 好きだよ。全部」
「どのへんが?」
「うーん、全部? 全部がすごい可愛い。萌え」
男に萌えられても。なんだか嫌。
「骨がなくても俺が好き?」
「なんだよ可愛いな。不安なのかな? 骨はなくならないだろうけど、もしなくても好きだよ」
さわさわと大きな手が俺の頭を撫でる。
不安とかそういうのではなくて。
「でも俺は多分、歯以外のソウタを恋愛的な意味で好きにはなれないと思うんだ」
「うん? かまわないよ」
「そうなの? でもそうすると俺にとって歯以外のソウタはなんなんだろうって思うとよくわかんなくなって」
「それ俺に聞くの? 歯以外も好きになってくれると嬉しいけど嫌いじゃないならいいよ。俺はそれで十分。嫌いではないよね?」
「嫌いじゃない、でも好きになれそうにもない。でもあのね、それなのにキスしてるとなんかよくわからなくなって混乱するんだ」
ソウタに軽くキスをする。冷静になるとやっぱりひどく違和感がある。
引き寄せられて抱きしめられる。
「これは?」
「なんか変な感じはするけど嫌じゃない。ハグなら男同士でもするからかな。でもキスは違う。俺たちがやってるキスは友達を超えてる」
「ヒロは真面目だねぇ、すぐ流されるのに。流されるのじゃダメなの?」
「なんか、落ち着かなくて」
「恋人っぽいことが嫌なの? 俺が男だから」
「そうなのかな? そうなのかも。ソウタが女の子ならよかったのに。ほんとに」
「ふふ。嬉しいな。ほんとに嬉しい」
「嬉しい?」
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