7 願い星

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恋をしたのは初めてじゃないし、深い関係になった相手もいる。だけど誰も彼も、紗良の見た目しか興味がなかった気がする。紗良自身も深くそこまで誰かを好きになったことはなく、自然付き合いは長続きせず、1年を待たずに終わった恋がほとんどだった。 「透人は…違う気がする…」 眠ったままの相手に、紗良はぽつりと語り掛ける。彼が紗良にしてくれた施しを盾に迫れば、紗良は従わざるを得なかった。実際、余りに巧い話過ぎて、同居の件を持ち掛けられた時はそれが目的なのだろうと思ったくらいだ。 それでもいいと腹は括っていたのに、同居中の透人は紳士そのもので、いかにして紗良がこの家で心地よく暮らせるか、心を砕いてくれた。 尊敬と信頼が愛情に変わっていくのも当然で、透人の存在は紗良の中で、これまで出会った誰よりも、大きく膨れ上がっていた。 片方だけが好きだと自覚してしまうと、同居生活は逆にやりにくい。気持ちを伝えたい苦しさと、傍にいられる嬉しさの天秤が、絶えず胸中で揺れ続ける。 だから、昨夜、紗良は賭けをした。 ――流れ星が見えたら、透人に好きだって言う。 紗良の気持ちを知ったら、透人は紗良を家から追い出すかもしれない。追い出さなくても、今までみたいに気軽に接してくれないかもしれない。 失いそうなものがいくつもあって、それでも告白するには、何かきっかけが必要だった。 「…僕も…紗良が好きだよ」 透人はそう言ってくれて、そして両手に持ってたものをすべて邪魔だと言わんばかりに、地面に放り出して紗良を抱きしめてくれた。 あの嬉しさはどうやって表現すればいいんだろう。 けれど、紗良が舞い上がってるのに対して、透人の表情はどこか翳っていて、苦しそうだった。 戻ったテントの中で、紗良は透人の苦悶の理由を知る。 「うん…実はさ…俺と真尋はホワイトスノウの創業者の息子なんだ」
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