7 願い星

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肩にのしかかる重みで、紗良は目を覚ました。何だろう…と思うと、透人の左腕が、紗良の右肩に思いきりかぶさる形になっていた。 (そうか、私、昨日…) ここは透人の部屋で、今、二人で透人のベッドの中にいる。透人が起きないように、そっと腕を外して、紗良は上体を起こした。 カーテンから漏れる光はほとんどなく、まだ空が暗いのだと告げている。それでも、じっと見つめていると、目が慣れてきた。 (透人の部屋…なんか、透人の匂いする) 素肌だったので、毛布にくるまり、紗良は暖をとる。 透人はまだ熟睡中らしく、起きる気配は無かった。 昨日――キャンプから戻ってきて、真っ先に透人はこの部屋に紗良を連れてきた。パソコンデスク、オーディオ、本棚、ベッド――。無駄なものがなく、きっちり片付いていて、透人らしい部屋だと思った。 「あんまり見ないでよ」 好奇心に満ちた紗良の視線に気が付いて、透人が言う。照れたような笑顔が、透人らしくて好きだと思う。 今度はそっちに見惚れていたら、笑顔がどんどん近づいてきて、唇を重ねられた。2回、軽くついばむようなキスをしてから、透人は「紗良、可愛い。食べちゃいたい」と合間に呟いて、今度はそのセリフを実践してるかのように、紗良の口内に入ってきた。 丹念に紗良の舌を歯を味わっているようなキスは長くて、紗良は酸欠でふらふらしそうになって、透人の腕をぎゅっと掴む。紗良が崩れないように、透人は紗良の背中に腕を回して、しっかりと支えてから、漸くキスを解いた。 こつんと紗良の額に自分の額を重ねて、透人は紗良の目を覗き込む。 「…僕、がっつきすぎだった?」
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