エピソード 4

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エピソード 4

それからの展開は早かった。 松本に調べさせた内容を元に、あの一帯の既に買われてしまった土地も含めて買い取り、今も残る人たちもそのままで穏やかで人々が安らげる空間、街を作り出した。 勿論採算のとれない仕事はしない。 ノスタルジック溢れる街並み。元からある雰囲気を壊さず少しの新しさも加えた。 日々に疲れた人々のニーズにハマり街は賑わっている。 それだけ人々の心が疲れていたという事なのだろう。あの日の俺のように。 これで花音を守れただろう。 花音の笑顔を思い出し心が温かくなる。 数日の徹夜の疲れも吹き飛んだ。 「キミ、コーヒーを…いや、自分で淹れよう」 「え、社長…私がやりますので…」 「いや、いいよ。こう見えてもコーヒーを淹れるのは上手いんだ。キミも飲んでみるか?」 「え、いえ、あの……」 困惑した表情で俺を見る秘書。 これまでの俺を知っていたらそうだろうな。 苦笑いを浮かべコーヒーを淹れに席を立った。 キミの側を離れ、世界は輝きを失ってしまったけれど心は温かいままだ。 ―――――――俺は幸せだよ。
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