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タッタッタッタ…
黄色いつなぎにサンタの赤い帽子のリーが、木製で滑りやすく、その上、急勾配な檜の階段を駆け上がると…
そこにはこたつに腰掛ける、四人の忍者がいた。こたつの上にはたくあんの輪切りの大皿と急須とポットが置いてあった。リーが上りきる前から、美味しそうな玉露の薫りが漂っていた。
忍者のひとりがリーに声をかける。
🥷「意外と危ないでしょう?そこの階段。」
🥷「ああ。旨いなぁ。やっぱ濃ゆ~いお茶とたくあんの組み合わせは最強やなぁ。」
🥷「気をつけて、慎重に上がって来た方がいいでやんがすよ。」
🎅アチョー! アチョ!
🥷「あー!アンタね。マスクしてないね。ちゃんとマスクしなさいよ。あたしらだって暑いの我慢してるんだから!」
🥷「やっぱたくあんの冷たさに、あっつ〜いお茶が合うんだよなぁ〜!」
🥷「ソーシャルディスタンス守らないなら、戦わないからね。」
🥷「あと、そこのアルコール消毒もね。」
🥷「うがい,手洗いも忘れないでね。」
🥷「はい。これが防護メガネとフェイスガード。」
🥷「あ。防護服もお願いしますよ。ちゃんと黄色に黒のライン入ってますから。はは。」
サンタクロース・リーが一通りコロナ対策を終えると
🥷「ふっふっふ。待っていたぞ。リー。我はブラックサンタ四人衆のひとり猿飛サンスケ。」
🥷「ブラックサンタの日本版が忍者説を立ち上げた。わしは服部半畳。」
🥷「臭いオナラが必殺技のけつ破れ才蔵。」
🥷「クソが漏れそう蔵じゃ。必殺技💩の事は聞かんでくれ。クリスマスにふさわしくないからのう。」
四人の忍者がサンタクロース・リーを取り囲む。リーは半身に構え、室内に緊張の糸が張りつめる。
🎅アチョー!
🥷「あー、待って待って。わしらはアンタと戦う気はないからね。欲しいのこれでしょ。コロナウイルスやっつけるヤツね。雪車🛷にくっつけて雪と一緒にまくのかな。プレゼントは上の階の人が持ってっからね。」
🎅アチョ?
🥷「だって明日はもうイブでしょ。アッシらだって仕事もあれば家庭もあるんですから。」
リーが金の袋に荷物を入れて、階段を上がろうとすると、
🥷「まあまあ、そんなにいそがなくても、お茶でも飲んで行きなさいよ。美味しいたくあんもある事だし。」
こたつの上には客用の藍塗りの湯呑み。たっぷりの茶が注がれて、湯気が温かい。なんとも香ばしい匂いが鼻をくすぐる。さっきの戦いでのども渇いている。横には信楽の器にたくあんがきらきら光っていて旨そうだ。リーはこたつに足を入れ腰をおろした。ちょっと熱めの茶を啜った。甘い。これが玉露か。鉄観音とはちょっとちがうが、これはこれでたいそう美味かった。たくあんを一口。パリッ!なんと!これまた絶妙な味わい。ん?なんか眠くなってきたぞ。立ち上がろうとするが、身体が重い。ん?なんか入ってたな。ねむい…ヤバい…ねむ…
🥷「結構簡単だったな。」
🥷「サンタクロースのカリスマと聞いておったがな。」
🥷「油断しすぎじゃな。眠り薬に気がつかぬとは。」
🥷「忍法お茶とたくあんの術。」
🥷🥷🥷🥷「わっはっはっはっは〜❗️」
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