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こんな風にアイツを思って、俺は初夏の風を肌に感じて木々に目をやる。次第に強くなってくる風を、新鮮に感じる。 頭を冷やそう。 ここから出たいと、田島に言ってみようか。可能性があるなら、それに賭けてみようか。巧に会いたくて、俺はぐるぐると考えを張り巡らす。 寂しく一人、また自室で微睡んでも、その考えが消えることは無かった。巧の濃厚な愛撫を思い出して、自分を必死で握る俺。後ろを貫かれたのは遠い昔なのに、疼く身体を持て余し、俺は指をそっと入れ込む。 「…ああ、あっ…」 巧のはもっと凶悪で、でも優しく俺をこじ開けた。その刹那が欲しくて、連日自分で慰めるその行為が、空しくて涙が滲んだ。 その時、玄関のドアが開く。 「西岡、ちょっといいか?」 入って来たのは田島だった。俺は、快感に咽ぶ自分自身を隠せない。 「何で…アンタが…」 「うわっ、ご、ごめん、こんなことになってるとは知らずに…」 顔を背ける田島。自分で慰めているところを見られても、一度火が付いた身体は止められなかった。 「ァ…ああ、もー…出てってくれ、よ…」 後ろに突っ込んでいる自分の指を、抜くこともせず俺は見せつけるように田島を見つめる。どうせ、コイツも俺、いや、Ωの事なんて淫乱ではしたない人間だと思っているに違いない。顔を真っ赤にして 試すように俺は言う。 「出て行かねーなら、アンタもこっち来れば?それとも」 俺は笑いながら言う。 「こえーの?…Ωの俺が。聖人君子気取ってるアンタも、結局は俺が発情したら犯すんだろ。…はや、く…来いよ…」 何故俺はこんなことを言ったか分からない。でもこの田島という教師も普通の、ただの人間だということを示したかった。 赤い唇を半開きにして、自分を扱き田島を誘う。 それでも田島は、赤い顔をしながらもこっちを見ない。 「大事な…話があったんだ…今日じゃなくてもいい…また、来る」 「俺がアンタを欲してるって、言ったら…?今すぐ俺にぶち込んでって、そう言ったら?」 「西岡っ、いい加減に…」 煽る俺の言葉に反応して、田島は俺を見る。途端に俺を凝視した。 俺を見て、田島はゆっくり近づいてくる。ほら、やっぱりこいつも他の男と同じだ。 「分かった…今日は、俺が手伝ってやる。それで…いいだろう?」
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