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赤い顔をして、自分もとうに猛っているのを隠すこともせず田島は俺に触る。俺が握っているその上から、そっと大きな手で包んでくる。
「ああ…たじま…せん…せい…」
色っぽく囁いても、田島は無言で俺を扱く。俺はすっかり、自分が誘ったことも忘れて田島の猛々しくも優しい掌に陶酔していく。後ろに入れた指を、一心に動かす。でも、圧迫が少なくて俺は更なる刺激を求めて田島に懇願する。
「おねが…い、うしろ…うしろも…」
全て取ってしまった下着。足を開いて、俺はそこを拡げる。ヒクヒクと痙攣しているであろうそこに、田島は慣れた手つきで自分の唾液を絡めた指を進めていった。
「あああ、ああ」
余りの快感に俺は身を捩る。上下に揺すられている前は、もう先から出ている液体でてかてかと光っていた。
「…歩…」
辛そうに田島は囁く。そして、その濡れて淫靡に光っている俺の先端を口腔に埋めた。
久しぶりに他人に触れられるその感度といったら、自分でする行為の何倍もの快感だった。はしたなく、俺は田島の舌のざらざらとする感覚に身を委ねる。余りの刺激に俺は漏れ出ていく喘ぎ声を自分の手で塞ぐ。でも、全く意味のないその行為を嘲笑うかのように咥えられている水音は激しくなっていく。
「あ…ァあ、ん…すご…い…」
素直に快感を口にすると、途端に感度が増してくる。その声を聴いて、田島は口を離し語り掛けてくる。
「…歩、可愛い…変わってないよ、お前は…」
その時、歩と呼ばれたことで俺の記憶がよみがえってくるのが分かった。
再び口腔に包まれて、俺は田島の髪の毛を掴む。
激しく上下に舐めとられて、射精欲に支配されていく俺の心。
「イく、イく…イっちまう、田島…せんせっ」
「俺が飲み干してやる。たくさん出していいよ」
その声を聴いて、俺は痙攣しながら一気に白濁を放出する。そのまま掴んでしまった髪の毛をそっと離すと、田島の顔はうっすらと汗が滲んでいた。
ごく、と飲んだ音が聞こえて、俺は乱れてしまったことを恥ずかしく思った。
「ごめ…俺っ」
覚えている。姿が変わってしまったことで、気付かなかったけれど、この人は俺の大事な人だった。
「いいよ。歩は変わってないなァ…俺は歳をとったよ。良かった、思い出してくれただけでも俺は満足だよ」
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