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「俺は今、お前らに犯されるならこのままコイツのそれ嚙み切って俺も死んでやる。その方がマシだ」
「へーえ…強いんだね」
「流されんなよ、北原。自分を強く持てよ」
北原は叫ぶ。
「お前には分からないよ…僕の悲しみと苦しみなんて…早く犯されろ!」
北原の金切り声が、廊下まで響くかのように大きく反響する。
その瞬間、ガラガラと引き戸が開いた。
「おーやおや。お楽しみですか西岡先輩。北原先輩も」
そこに立っていたのは堀だった。
「堀…」
「お前らαの生徒、全員出て来いよ…こんな事してるってことァ、俺にどうされてもいいって事だよなァ」
「ひっ…堀君…いや、これは、その…北原君が」
長髪は怯えて自分の股間をしまう。
北原は深く入っていた体を引き抜くと、堀の方を向いた。
「堀君…僕は」
「言い訳ですか。散々男たぶらかしていい御身分ですね。アンタ、どうしたいんです。西岡さんに復讐か?」
北原は下を向いた。泣きそうな顔で、北原は下唇を噛む。
「田島先生の心は、先輩みたいのじゃ摑まらねぇ」
堀は笑って北原の所へ進んでいく。そして顎を掴んだ。
「もっと純粋で…穢れのない、犯したくても犯せない人間…そういうのがお好みのようだぜ」
掴んだ顎をグイ、と引っ張ると堀は俺を立たせた
「大丈夫ですか?アンタも災難な人だ」
「ああ…」
返事をして、俺は教室を出て行く。
「西岡君…」
北原の声で、俺は振り向く。
「僕は…僕は…」
俺は口の端で笑った。
「いいよ、俺は。お前が強くなれ。田島先生がお前を見るように」
閉めたドアの音がそっと静寂に伝わっていった。
学校の外は真っ暗だった。
あーあ、と堀が言うので、俺は何だよ、と答えた。
「西岡さんの凌辱写真、撮っとけばよかったァ」
「ふざけんな」
「ふざけてませんよ。田島先生に10万で売れる」
「…よせよ」
「今回のはアンタもいけない。田島先生にも、俺にも隙がありすぎですよ。肝に銘じた方がいい」
俺は少しむっとして、堀ととぼとぼと夜道を歩いていた。
「もてる男は辛い、ってやつですよ」
「…」
お前はどうなんだよ、と俺は言う。
手紙をもらってたり、周りにはたくさんのΩが居そうだ。
「俺ですか。俺はーそうですね。俺は一生かなわねェ恋ですよ。だからアンタを見てると自分を見てるようで」
「どういうー」
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