第四話 不老不死

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一通り使えるものを探し終え、埃の被っていたソファーやベットを綺麗にして俺はくつろいでいた。 そんな時にエヴァンはこの国の事を聞いてきた。 エヴァンにこの国、周辺国の事を教える為に、ソファーに座り直し、バケツに入った水に手を入れて魔法を唱えた。 「神魔法、海王神の貯蔵庫」 水から手を上げると、俺の手には真新しい世界地図があった。 「ただの水ですよね……それも魔法ですか?」 エヴァンはバケツの中の水を二度見して言った。 基本的に魔法に関する知識がないなエヴァンは。けれど魔法が使える……不思議なやつだ。 「ああ、簡単に言えば時間の概念がない倉庫みたいなもんだ」 「時間の概念がない……じゃあ、今日のご飯あるんですか!」 目をキラキラさせながら言うエヴァン。その表情からどれだけお腹が減っていたのかが分かる。 俺はまた水に手を突っ込み、二人分の食料を貯蔵庫から出し、腹を空かせているエヴァンに渡した。 「食べながら話そう」 そう言うとエヴァンはもぐもぐと食べ始めた。 まるでリスだな。 そう考えながらも、俺らが今いる大陸の地図をテーブルの上に広げ説明を始めた。 「まずこの世界には八カ国の国が存在してる。その一カ国一カ国に主となる魔法属性、意味があるんだ」 「じゃあ八個の魔法属性が存在するんですか?」 「いや、派生などで十三の属性が今は存在してる」 「多いですね」 じっ。と自分の手を見るエヴァンは、自分が何属性に入るのかを考えているように見えた。 実際にエヴァンの魔法はもう滅びており、その属性は今は闇となっている。 「俺らが今いる大陸にある国を覚えておいてくれればいい」 「広いですね。この大陸に三カ国」 「俺の国のエスポワールは魔導士の未来と希望の国とも言われ、十年前はどの国よりも強くかった」 一瞬エヴァンの顔が暗くなったように感じた。 だが俺は見間違いだと思い込み、説明を続ける。 「エスポワールに隣接するのが、強さと誇りを象徴とする帝国フィエルテ。今の最強帝国だ。主とする属性は炎……」 この国にはいい思い出などひとつもなかった。ことある事に父様達に牙を向け、エスポワールが滅びた直後最強と名を挙げたのが、何よりも俺は気に食わなかった。 悔しさと苛立ちを抑えるように俺は下唇を噛み締めた。 力を込め過ぎたのか、口の中に少し鉄の味が広がった。 俺は我に戻り、エヴァンに説明の続きをし始めた。 「芸術と成長を象徴する国ナテュール。ナテュールはのフィエルテの西に位置し王族の扱う属性は自然だ。俺らは先ずこの国を目指す」 「この旅に目的があったんですか」 俺をなんだと思ってるんだ」 「滅亡した国の王子で放浪者?」     じとっと俺はエヴァンを睨む。 そんな目線を無視し、彼女は無数の星が浮かび上がった夜空を眺めていた。 彼女の横顔を見るなり、俺は明日の朝にここを出ることをエヴァンに伝えると浅い眠りについた。  
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