212人が本棚に入れています
本棚に追加
クロムは彼女が魔法を使っている事に対して驚き、その場に佇んでしまった。
この世界では女性は魔法が使えない。
それは、かつて人間の親であるアダムとイヴが犯してしまった罪が深く関わっている。
けれど、クロムの目の前にいる少女は平気な顔をして魔法を使っていた。
確かに女性でも魔法を使う手段は存在しない訳では無い。魔導石や永久魔導石などを通してなら彼女達も魔法を扱うことが出来る。
しかし、白髪の彼女の魔法、死の魔法は魔導具では出すことが出来ない。
「うっ! なんだこの闇は!!」
「うぁぁあ!!」
「まだ……死にたくない!!」
三人の魔導兵は一瞬にして、黒い闇の渦に呑まれてしまった。
少女しか居なくなった状況で、クロムはただ魔法を使った少女を見ていることしか出来なかった。
何を思ったのかクロムは驚きながらも、座り込む少女の元へと駆け寄った。
そして、自分の名を名乗る前にクロムは白髪の少女の両肩を掴み、怒鳴り声に近い口調で彼自身が思う疑問を投げかけた。
「何故、お前は魔法が使える!! 見るからに魔法具は身につけてないようだが……女は魔法が使えないはずなのに、なぜ」
少女は突然の事に驚きながらも、クロムの質問に対して頭の上にクエスチョンマークを浮かべた。
「何故女性は魔法が使えないのですか」
質問に対して質問で返してくる少女にクロムは、ため息をはき、自分も状況を整理するために説明し始めようとした時、クロムは彼女のもう一つおかしな点に気がついてしまった。
それは、この世界に三人しか持っていない瞳、そう、彼女の瞳がクロムと同じ鮮黄色の瞳だったということに。
最初のコメントを投稿しよう!