100歳のトムテ

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 僕が自分のことを『トムテ』だと知ったのは、隣のバッテルス家の先輩トムテに教えてもらったからだ。  先輩には色んなことを教わった。  例えば僕らのやるべき仕事。    ヴァイドラー家に生まれたトムテだから僕は彼らのためにひっそりと働く。  人々が眠りについた後、馬の世話をする。  お水をあげたり干し草を与えたり、ヒズメの手入れにたてがみの手入れ。  羊の赤ちゃんの毛並みを整えたり遊び相手になったり。  それから干し草を束ねて重ねて、農機具のお手入れもする。    先輩はもう50年もバッテルス家で働いているという。  ただバッテルス家の今の当主が、仕事がずさんで少々腹が立っている。  どこか他の家に引っ越したい、とため息交じりに話していた。  トムテが住む農家は繫栄し、去られると衰退するという。  バッテルス家のこれからが少し心配になった。
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