100歳のトムテ

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 だけどそれよりも心配な事が僕にはある。  とても大きな心配事だ。    ニコの泣き声だ。  ニコという赤ちゃんは昼に夜に大きな声で飽きもせずによく泣いている。  なぜあんなにも泣いているのだろう?  一度それについても先輩に聞いたことがある。  返ってきた答えはこんな感じのものだった。  農家は朝早く夜眠るのが早い、仕事もたくさんあるから赤ちゃんに構っている暇などない。  赤ちゃんは泣くのが当たり前だ、いつか大きくなれば泣かなくなるから我慢しろ、と。  僕はニコがうるさくて嫌なんじゃない、ただどうして泣いているかが気になるんだ。  ある夜そのことを確かめたくなって僕はとうとう彼の部屋へと忍び込んだ。
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